アマッザの黒板メニューが毎週のように変わっていく理由

現在アマッザは、黒板メニューとランチのサラダに力を入れています

毎週8種のパスタと2種のリゾットを、ほぼ全て入れ替えて10種類のプリモピアットを提供中です

月曜日が定休日なのでそれを利用して、様々な場所に仕入れに行きます

気になる食材、欲しい食材、季節の食材など、欲望の赴くまま買いまくります

火曜の朝に仕入れた食材を並べ、メニュー会議を行い、メニューが決まったら仕込みはじめます

大体一週間で冷蔵庫が空っぽになるので、またお休みの日に仕入れに出かける

去年位からほぼこのスタイルで営業しています

仕入れた食材をベースにメニューを決めるので、大体毎週違う料理になる事が多いです

どこのお店にもあるような定番のメニューはあまり作らなくなってしまいました

リピートしてくださるお客さんが本当に増えたので

新作の方がよく出るようになり自然に作らなくなっていきました

アマッザがある町は繁華街ではないので外から人が訪ねてくるような街ではありません

近所の人や、この街に働きに来ているような人たちがお客さんです

そういった近所の皆さんが何度も来たくなるお店って何だろうか?

そんなに高級じゃなく、でもしっかり贅沢に満足できて、ちょっと幸せな気持ちになって帰れる

そして、次に来たらどんなメニュになっているか、帰る頃にはもう楽しみになっているような

そんな風なお店になれるのかもしれない、と25年目にして思うようになりました

今でも大変といえば大変なのですが、始めたころに比べれば全く負担はないです

自分が作りたいものを作りたいように作れて、それを楽しみにしてくれるお客さんがいて

仕入れに出ても商売のことを考えず、純粋に料理人としてこの素材を調理したい、この見たことのない食材と触れ合いたい

休みがなくて大変じゃないですか?と聞かれるのですが

むしろこの生活が自分には合っているようです

朝起きて仕込みをして、ランチを営業、閉店後は一時間かけて筋トレ、自宅に徒歩で一旦戻り映画を一本

徒歩で店に戻り夕食を作り、その後開店、大体暇なので、次の日の仕込みか新作の研究、予約のメニューの構築など

閉店後は一日のご褒美にお酒を飲んで帰宅

全然大変そうじゃないでしょう?

毎日楽しく料理が作れて、自分の時間もしっかり取れて、それでいて健康

料理人として、今一番楽しく毎日を送っています。

 

このやり方を始めた本当の理由は自分の心のリハビリです

コロナ過であまりにも色々な事があり

人生観がすっかり変わってしまいました

緊急事態宣言なんてものが発動して、お店を開けてはいけない

「ああ、もう料理人として生きていけないんだ」そうした絶望

だが何故かテイクアウトの依頼が殺到、不調だった弁当の卸も急に忙しくなる、シフォンケーキの販売も拡大し

お客さんがお店に一人も来ないのに尋常じゃない忙しさ

この辺から心がおかしくなっていきます

料理人としてどうやって生きていけばいいのかが全く見えなくなりました

全力で経営していたのにこの異常時にやっている副業の方が遥かに需要がある

今までやってきたアマッザは一体何だったんだ?

自分の料理が価値のないものに感じていました

そして店内営業も少しづつ再開

この少しづつが特によくなかったのかもしれません

常連さんはほぼ居なくなってしまった

まだテイクアウトの需要は少し残っている

しかしコロナ過でいろんなお店が一斉にテイクアウトをした事で

今度はテイクアウトにうんざりし始める人たちが店内営業をもとめる

まだテイクアウトやシフォンの方が忙しく、仕込みの時間や営業時間も十分に取れない日々が続きます

何もかもが中途半端、全力が出せないもどかしさ

 

そして、やっとコロナ対策は緩和され何の縛りもなく営業が再開できるようになります

弁当の卸は契約を終了シフォンの販売は少し減らしお店の営業時間をしっかり取るようになります

ランチだけは何となく新規のお客さんも増えてきたもののディナーは全く戻らず

新規の方も増えて来たのでわかりやすいメニューを増やして何とかお客さんを取り戻そうとあがき始めるのですが

ここで一番強烈な病気が発動

「店内にお客さんがいる状況が怖い」

お客さんが店内にいないことが当たり前になりすぎてしまったせいなのかもしれませんが

ここまでひどいとは思ってもみませんでした

ランチはまだ奥さんが手伝ってくれていたのでまだましでしたが(それでも忙しくなるとパニックになっていました)

夜は自分一人なので本当にひどい有様でした

 

困った時は料理に没頭しよう

今までどんなにひどい状況も全部料理で乗り越えてきました

 

ディナーは暇でもランチはそれなり

だったらランチをクリスマスディナー位の全力でやってみようかと考えました

あまりランチでは提供してこなかった、特別アマッザらしい料理を出してみてはどうだろうか 

まずは定番メニューの撤廃、黒板メニューにはその時にしか作れない料理を必死で作り

ランチのサラダも自分が作りたい野菜料理を沢山、手間をかけて仕込んだスープもサラダに組み込むことに

こうすることでランチでパスタ一品食べてもアマッザの料理が10種類以上食べられるようにしました

最初は野菜嫌いな方も多く、すごく残されることも多く苦しかったですが

それよりも喜んでいただけることが多かったので、心折れず続けられました

アマッザの料理は一般的でないオリジナルな物も多く躊躇する方も多かったのですが

自分の道を信じ、作りたい料理を真っすぐ作り続けました

ランチでも手間を惜しまず作る為、時間もかかり、原価率も高く、回転率も悪いです

まだ心が安定していなかった頃はオーダーが複雑になるとパニック状態になってしまう為

お笑いのラジオを聴きながら調理していました(これは今でもひどいと思いますが、そのくらい良くない状態でした)

それでも、そこまで忙しくないし、喜んでくれている方も増えて来たし

何よりお客さんの笑顔が増えてきたように感じてきました

この辺から、このままこのやり方の精度を上げていけば、

このひどい病気も治るかもしれないと感じるようになってきました

なんとなくこの生活にも慣れ、思った物がしっかり作れるようになっていき

どんどん心の状態も良くなっていき、ある時ふと気づくのです

「なんだかお客さんのリピート率が凄く上がってないか?」

毎週のように変わるメニューを楽しみに今までよりもはるかに短い頻度での再来店がとても増えている事に気づきました

この事実に気づいた時に思いました

「病気治った」

嬉しそうに料理を食べてくれている皆さんの笑顔にどれほど救われたのかわかりません

51になってようやく整った料理人の生き方を、これからは全うしていこうと思います

楽しく料理を全うし、毎週の黒板メニューで皆様にお返ししていこうと思います

 

長々と失礼しました